【訪問診療スタッフ必読】居宅療養管理指導の職種別算定要件・時間要件まとめ

歯科訪問診療

在宅医療・訪問診療を支える「居宅療養管理指導」。介護保険を使って、薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士などの専門職が自宅を訪問してくれるサービスです。でも「職種によって点数が違う」「2024年の改定でどう変わったの?」といった疑問も多いはず。この記事では、2024年(令和6年)の介護報酬改定の内容もふまえ、職種ごとの役割・算定要件・単位数(点数)まで、わかりやすく整理してお伝えします。

1. 居宅療養管理指導とは?

居宅療養管理指導とは、介護保険のサービスのひとつです。要介護の状態にある方が、できるだけ自宅で自立した生活を続けられるように、医療の専門家が自宅(または入居施設)を訪問してサポートします。

訪問できる職種は、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士など。それぞれが専門の立場から、療養上の管理・指導・助言を行います。また、利用者本人や家族への指導だけでなく、ケアマネジャーに対してケアプラン作成に必要な情報提供を行うという、多職種連携の要としての役割も担っています。

ケアプランへの位置づけが不要

通常の介護保険サービスはケアプランに組み込む必要がありますが、居宅療養管理指導は医療職が直接利用者にアプローチできるため、訪問診療と連携してより柔軟に活用しやすい制度です。

自己負担は原則1〜3割

介護保険が適用されるため、利用者の自己負担は1〜3割に抑えられます。在宅療養を続ける上での経済的な安心感にもつながります。

対象となる方

要介護1以上の認定を受けており、「通院が困難」な状態の方が対象です。要支援1・2の方は「介護予防居宅療養管理指導」として別途対象になります。

2. 居宅療養管理指導を提供できる専門職とサービス内容

居宅療養管理指導は、以下の専門職がそれぞれの役割に応じてサービスを提供できます。職種ごとに算定できる回数や時間の要件が異なりますので、確認しておきましょう。

① 医師・歯科医師

訪問診療・往診を行った日に、療養上の管理や指導・助言を行います。本人・家族への指導に加え、ケアマネジャーへのケアプラン作成に必要な情報提供も担います。時間の要件はなく、月2回まで算定できます。

② 薬剤師(病院・診療所・薬局)

医師の指示に基づき、薬の保管状況・服薬状況の確認、残薬の整理、副作用チェックなど、薬学的な管理・指導を行います。病院・診療所の薬剤師は月2回まで、薬局の薬剤師は月4回まで(がん末期等は週2回・月8回まで)算定できます。

③ 管理栄養士

医師の指示のもと、糖尿病・腎臓病・嚥下障害など食事療法が必要な方を対象に、栄養ケア計画を作成し食事指導・調理方法の提案を行います。1回あたり30分以上の指導が算定要件で、月2回まで算定できます。

④ 歯科衛生士等(保健師・看護師・准看護師を含む)

訪問歯科診療を行った歯科医師の指示のもと、口腔内の清掃・入れ歯の清掃・摂食・嚥下機能に関する実地指導を行います。利用者と1対1で20分以上の指導が算定要件で、月4回まで算定できます。誤嚥性肺炎の予防の観点からも重要な職種です。

3. 2024年(令和6年)度 介護報酬改定のポイント

2024年6月1日施行の介護報酬改定では、居宅療養管理指導についていくつかの重要な変更がありました。改定内容をひとつずつ確認しておきましょう。

① 全職種・全区分で基本報酬を一律1単位引き上げ

すべての職種・すべての区分において、基本報酬が一律で1単位引き上げられました。

② 薬局薬剤師への新設加算(医療ニーズが高い患者向け)

在宅で医療用麻薬持続注射療法を行っている患者への「医療用麻薬持続注射療法加算(250単位/回)」と、在宅中心静脈栄養法が行われている患者への「在宅中心静脈栄養法加算(150単位/回)」が新たに設けられました。

③ 管理栄養士・歯科衛生士:通所サービス利用者も算定可能に

従来は「通院または通所が困難な方」が対象でしたが、「通院が困難な方」に見直されました。これにより、デイサービスなどを利用している方でも、通院が困難であれば自宅での栄養指導・歯科衛生指導を算定できるようになりました。

④ 管理栄養士:急性増悪時の算定回数を月最大4回へ拡大

医師が「急性増悪により一時的に頻回の栄養管理が必要」と特別指示を出した場合、指示日から30日間に限り、通常の月2回の上限に加えてさらに2回(月合計4回まで)算定できるようになりました。

⑤ 薬剤師:オンライン服薬指導の算定回数が月4回に拡大

情報通信機器を使ったオンライン服薬指導の算定回数が、「月1回(45単位)」から「月4回(46単位)」へと拡大されました。

4. 職種別・単位数(点数)一覧(2024年6月改定後)

単位数は「同じ建物に住む利用者の人数(単一建物居住者)」によって3段階に区分されています。同じマンションや施設の複数人に同月に訪問する場合、人数が多いほど単位数が低く設定されています。

単一建物居住者の人数とは:同月に同じ建物でサービスを受ける利用者の数のことです。「1人」は建物内でその方だけ、「2〜9人」は2〜9人、「10人以上」は10人以上を指します。
医師が行う場合(月2回まで)
区分 1人 2〜9人 10人以上
居宅療養管理指導(Ⅰ)
在宅時医学総合管理料等を算定していない場合
515単位 487単位 446単位
居宅療養管理指導(Ⅱ)
在宅時医学総合管理料等を算定している場合
299単位 287単位 260単位
歯科医師が行う場合(月2回まで)
区分 1人 2〜9人 10人以上
歯科医師 517単位 487単位 441単位
薬剤師が行う場合
区分 1人 2〜9人 10人以上
病院・診療所の薬剤師
月2回まで
566単位 417単位 380単位
薬局の薬剤師
月4回まで(がん末期等:週2回・月8回まで)
518単位 379単位 342単位
情報通信機器(オンライン)
月4回まで
46単位(人数区分なし)
管理栄養士が行う場合(月2回まで・1回30分以上)
区分 1人 2〜9人 10人以上
当該事業所の管理栄養士 545単位 487単位 444単位
栄養ケア・ステーション等の管理栄養士 525単位 467単位 424単位
歯科衛生士等が行う場合(月4回まで・1回20分以上)
区分 1人 2〜9人 10人以上
歯科衛生士等 362単位 326単位 295単位

5. 算定するための要件と気をつけること

居宅療養管理指導を正しく算定するためには、いくつかの厳格なルールがあります。実地指導で指摘されやすいポイントを4つまとめます。

① 「通院困難」の明確な判断が必要

「通院困難」とは、自力で公共交通機関などを使って病院や薬局へ行くことが、医学的・社会的に難しい状態のことです。「病院へ行くのが面倒」という理由では認められません。医師による客観的な判断(ADLの低下・認知症によるリスクなど)が必要です。「独歩で家族や介助者の助けを借りずに通院できる方」には算定できない点に注意が必要です。

② ケアマネジャーへの情報提供は毎回必要

居宅療養管理指導は、ケアマネジャーへの情報提供を行って初めて算定できます。月に複数回訪問する場合も、毎回の情報提供が必要です。状態の変化がない場合でも「変化なし」であることや指導内容を必ず記録に残し、ケアマネジャーへ報告してください。これを怠ると返還指導の対象になるリスクがあります。

③ 医師・薬剤師は原則「1人まで」

1人の利用者につき、算定できる医師・歯科医師・薬剤師は原則としてそれぞれ1人までです。かかりつけ医が複数いる場合でも、複数の医師が同時に居宅療養管理指導を算定することはできません。

④ 医療保険との重複請求に注意

医療保険と介護保険が重複する場合、原則として介護保険が優先されます。たとえば、同じ月に介護保険の居宅療養管理指導を算定している利用者に、医療保険の「薬剤服用歴管理指導料」や「かかりつけ薬剤師指導料」を同時に算定することはできません。保険の切り分けには十分注意が必要です。

まとめ

居宅療養管理指導は、在宅で暮らす要介護者にとって医療と介護をつなぐ重要なサービスです。2024年の介護報酬改定では、基本報酬の引き上げに加え、医療ニーズの高い患者への新設加算や、通所サービス利用者への算定要件緩和など、より幅広い場面で活用できるよう制度が見直されました。

「通院困難」の判断やケアマネジャーへの毎回の情報提供、単一建物居住者のカウント方法など、算定要件は細かく定められています。これらを正しく理解し、多職種で連携しながら記録をしっかり残すことが、適正な運営と在宅医療・介護の質の向上につながります。日々の業務で迷ったときは、この記事の算定要件や単位数一覧をぜひ参考にしてください。

TOOL

アポ組みのストレスを、今日で終わりにしませんか?

訪問診療のスケジュールと移動時間を自動計算。
まずは完全無料のブラウザ版で、パズル感覚の操作をお試しください。

無料ツールでシミュレーションする →

※ アプリのインストールやアカウント登録は不要です

コメント

タイトルとURLをコピーしました